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Ray Charles And Betty Carter DCC(ABC Paramount ABCS385)

Raybetty

Keelyがしっとり歌った「Cocktail for Two」。

この曲、Spike Jonesのワンフレーズごとにいろんな楽器でチャリを入れていく冗談音楽で有名ですが原曲はとてもロマンティックなバラード。

しかし、この雰囲気を壊さずに歌っているレコードというのがあまりありません。

今回はそんな状況の中、絶対忘れられないヴァージョン、Ray CharlesBetty Carterのデュエットでご紹介。

Ray1959年に7年間在籍して数多くのR&Bヒットを送り出したAtlanticレコードを離れ、多額の契約金をもってABC Paramountレコードと契約するのですが、この会社で「ストリングスオーケストラをバックにスタンダードを唄う」、「カントリー・アンド・ウエスタンのアルバムを作る」などの新しい企画作をリリースしていきました。

そんな諸作の中でジャズヴォーカルの奇才Betty Carterとのこのデュエットアルバムは当時結構話題になったのだと思います。

今でこそインプロヴァイスされたヴォーカルというのは奇異でもなんでもないのですが、当時のBettyの歌は好き嫌いが分かれるところだったのでしょうけれど、そこは声にならない声で歌うRayとの組み合わせで、彼のファンだったら違和感無く受け入れられる企画と考えられたのでしょうね。

アルバム全体を通して聴こえるBettyの声はキーの設定も有るのかも知れませんが、ハイノートでファルセット気味の声。

これが彼女の容姿とは裏腹の可憐な声と捕らえるか、カマトト声と捕らえるかで唄の趣も変わるわけで、ある意味2度(?)楽しめる企画かもしれません。

このアルバムの「Cocktail for Two」は、Rayのいかにもカクテル・ピアノ然としたロマンティックなイントロからスタンダードを唄うときのいつもの彼らしい抑えた唱でAメロが唄われます。

彼のスタンダードは、この抑えに抑えた唱からソウルが滴り落ちるようで私にはとても美味しく感じるんです。

Bメロで聴かれるBettyの声も素直ですが、Rayと同じように抑えているぶん思いが深くこめられた唱に聞こえます。

総じて言うとこのアルバム全体が二人の抑えた声、歌唱によって、逆に芳醇なソウルの横溢を感じさせる作品になっていると思うのです。

アレンジとオケはMarty Paichによるものですが、このアルバムでは余計な装飾は除き二人の唱に浸れる音作りになっています。

1曲目のEvery Time We Say Goodbyeでの2人の飾らない唱に寄り添う弦とコーラス、Paichにしては凡庸なアレンジと評されることもありますが、彼もまた抑えた音で溢れ出さんばかりの2人のソウルと才能を見事にまとめていると思います。

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Keely Smith「Politely」Capitol T1073

Keely

Lullaby Of The Leaves」繋がりで久振りのこのコーナーの更新、今回はKeely Smithの代表作「Politely」。

<<このコーナーは普段あまり紹介されないアルバムを曲、人つながりで紹介しています。>>

というわけで以前紹介した彼女のアルバムは「John LennonPaul McCartney SongbookReprise R6142や「Be My LoveDot DLP3241といったちょっとマイナーアルバム。http://bluesvoice.cocolog-nifty.com/blog/2004/02/keelysmithjohnl_c5a9.html

http://bluesvoice.cocolog-nifty.com/blog/2004/02/keelysmithbemyl_5663.htmlところが今Keely Smith自体をご存じないVocalファンも増えてきたということで、今回彼女といえばこのアルバム「Politely」のご紹介。

まず、曲繋がりで前回のTeri Thorntonが歌っていたLullaby Of The Leaves」。

この曲は我々の年代ではなんと言ってもVenturesのオープニング・メドレーで流れるツイストにアレンジされたエレキインスト・チューンですね。

この曲が実は古いミュージカル曲だというのは後で知り、その原曲バージョンを聞いたときにはあまりの古色騒然した雰囲気に驚いたものです。

それを前出のTeri Thorntonはアグレッシブにスイングさせていて、改めて曲の良さを認識したしだい。

さて、今回ご紹介するこのアルバムの中でKeelyはこの曲を本来のバラードで歌っているのですが、30年代の曲の古めかしさが感じられないのは当時の彼女が持っているモダンさ故かもしれません。

もちろんBilly Mayのアレンジの功績も大きくてCapitolでの前作「I Wish You Love」でのNelson Riddleも同様ですが、Dot時代の彼女のアルバムとはセンスの違いを感じさせます。

彼女の透明な美声がレンジの広いこの曲を縦横無尽に駆け巡るのをそっと支えるているかと思えば、続く「On The Sunny Side Stree」では唄とバンドとのコールアンドレスポンスが絶妙でこの曲にありがちな単なる能天気な雰囲気とは一味違う出来になっています。

特に、私の好きな曲、「Cocktails For Two」の哀切感のある唄と品の良いアレンジに心休まります。

一般的にKeelyはこのCapitol時代が一番評価されているようですが、Capitol移籍前のDot時代も良いアルバムを残していると思います。

Capitolではこの「Politely」のあとNelson Riddleとの「Swingin’ Pretty」をリリースした後Sinatraに請われてRepriseに移りさらにモダンなアルバムを作っていきます。

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