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Billie Poole「Sormonette」Riverside RLP 425

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前回Mysticsのアルバム紹介で「Sunday Kind Of Love」をさながらDoo Wopグループの課題曲と申しましたが、この曲は黒人系シンガーに好まれるようで、Dinah Washington2度、影響下にあったEtta Jamesも名盤「At Last」で取り上げています。

これら3枚のアルバムは既に当ブログやHPですでに取り上げていますので今回はRiversideレーベルのBillie Poole1stアルバム「Somonette」でのご紹介としましょう。

女性Vocalのレコードを聞き集める指針に使用されることで有名な「ジャズ批評/女性シンガー大百科」の中で黒人女性ヴォーカルに造詣の深い原田和典氏にして「原稿を書く前日まで知らなかった」と書かれた彼女Billie Poole彼女のような才能が有って、一流のJazzレーベルに2枚もアルバムを残しながら、知名度が低い歌手がいるということ、黒人のソウルフルなシンガーが当時Jazzレーベルでアルバムを出し続けていくことの難しさが、いみじくも原田氏のコメントに現われているようです。

もしかするとRiversideは彼女をJazzシンガーではなくてSoulシンガーで売り出したかったと言うかSoulファンも取り込みたかったのかもしれませんね。このアルバムが発表されたのが1962年、アルバムの一曲目がRay Charlesのヒット[Down In My Own Tears]ということがレーベルの戦略だったのか、彼女の歌いたい曲だったのか。どちらにしても、もろソウルシンガーののりでこの曲を歌いきるパワーはJazzシンガーの枠では納まらなかったであろうことを想像させます。2曲目は一転してJazzバラード然とした伴奏で唄われる「Lazy Afternoon」、ソウルフルですが抑えた表現がなかなか良いです、3曲目はゴスペルチックな導入部から重厚にスイングする「Sometimes I’m Happy」、ここまで聴き進むと彼女の歌唱がもろDinah Washingtonの影響下にあるのがわかります。

続いDinahも歌っていたEllingtonの「Rocks In My Bad」ではアーシィなシャウトを聞かせるかと思えば、「Sunday Kind Of Love」はしっとりと語りかけるかのように唄いこむ導入部から思いのたけを切なくぶつけエンディングへ導くとかなり技巧的な面も見せます。アルバムを通して聴いてもこの「Sunday Kind Of Love」の表現はとても落ち着いていて、彼女がただのシャウターでは無いことを主張していると思います。ただ、Riversideがどのように彼女を売り出していくか、彼女の可能性を一枚のアルバムで全て収めようとしたためか、アルバム全体を聴きとおすと少しまとまりの無い印象になってしまったのは否めないところです。

結局2作目の「Coffessin’ BluesRiverside RM458ではJunior ManceトリオにKenny Burrllを加えたJazzコンボでBlues,Gospellに根ざしたまとまりの良いJazz Vocalアルバムを作ったものの、このレーベルでは彼女をこのまま生かすことができなかったようです。このあともう少しソウル系のレーベルが彼女の良さを生かすアルバムを作っていけばもっと残っていける人だったのではないかと思うことしきりです。

Dinahの最初の録音はこのHPで紹介している「Queen」で聴かれますhttp://homepage3.nifty.com/bluesvoice/sakusaku/1_1.html

Dinah2度目の録音はこのアルバム「What A Diff’rence A Day Makeshttp://bluesvoice.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/dinahwashington_ff02.html

Etta[At Last]はこちらhttp://bluesvoice.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/ettajamesatlast_c706.html

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「The Mystics And The Passions」Laurie LES4010

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黒人Doo Wopグループが一世を風靡すると、白人たちも我先にとコピーを始め、コーラス・グループを結成しだしました。

それが白人Doo Wopグループ。 

Jo Staffordの「You Belong To Me」をリバイバルヒットさせたThe Duprees、「Since I Don’t I Have You」のヒットで知られるThe Skylinersなどが有名なところででしょう。

ニューヨークにあったLaurieレコードはBelmontsMysticsPassionsなどの白人 Doo Wopグループを多く抱えていたレコード会社でした。

今回ご紹介するアルバムは「Gloria」つながりでCadillacsの「Gloria」をカバーしてヒットさせたPassionsと同じレコード会社のMysticsをカップリングしたその名も「The Mystics And The PassionsLaurie LES4010

Jimmy GallagherをリードシンガーとするThe PassionsGloriaの黒人Doo Wopを彼らなりに昇華して白人層にも受けいれられるようクリーンにしているものの、コンセプトは黒人Doo Wopの常套句甘い3連バラードとノベルティなジャンプナンバーで幅広いファン層獲得。このアルバムで聞かれる「Gloria」はCadillacsよりさらに甘いのですが聞き比べると薄い感じがしてしまうのはしょうがないところ。その分、白人層に、特に若い女性たちには大いに受け入れられたのではないでしょうか?

対するMysticsは代表曲の「Hush A Bye」(アイルランド民謡をベースにしたあの哀愁あふれるHush A Byeとは同名異曲)がBeach Boysにカバーされたようにオリジナルはよりポップでその後のアメリカンポップソング然とした曲が多いグループ。簡単に表現するとPassionsは黒人Doo Wopを白人向けに、Mysticsはよりポップスコーラスを目指したグループということになるでしょうか。このアルバムはそんな2組の個性を明確にした選曲が楽しめるアルバムになっていると思います。

このアルバムでは特にMysticsDoo Wopの次に向かう方向性が斬新なのですが、Doo Wopの再発で有名なCollectablesから出された編集盤「The Mystics 16 Golden ClassicsCOL5043では黒人Doo Wopグループがよく取り上げるスタンダード・ポピュラーソングを彼らと同様に3連バラードで唄っている曲もコンパイルされており、スタートはやはり黒人Doo Wopのコピーからスタートしたであろうことがしのばれます。スタンダードの「Again」、「Over The Rainbow」等をDoo Wop風に唄っているのですが、黒人グループのような重厚さは希薄です。しかしその青臭さが逆に当時の女性ファンの心を捉えたのかもしれませんね。

The HarptonesThe Marcelsが得意としている「A Sunday Kind Of Love」は正統Doo Wopコーラスを彼らなりに重厚にかつロマンティックに聞かせてくれます。この曲は同じく白人グループのThe Regentsなども取り上げており、さながらDoo Wopグループの課題曲のようになっています。機会があれば聞き比べ、編曲やハーモニーの違いの妙を楽しんでみるのも面白いかもしれません。

Mystics

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The Cadillacs 「Crazy Cadeillacs」Jubilee JGM1089

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Milles Brothersが後世のコーラスグループに与えた影響は多岐にわたると思うのですが、まずBarber Shop Groupとして市中の気軽な友人たちが声を合わせてみることから始めるということ。

そして器楽的アプローチ、特にベースパートの上にハーモニーを重ねていくことなどがあげられると思うのです。このベースパートのボン・ボボボ・ボンという音、黒人霊歌やブルースのコール&レスポンスから来るシャウト、掛け声、これが後のDoo Wopコーラスの基礎になっていったのではと思っています。もちろんDoo Wopはゴスペルグループやジャズコーラス等色々なコーラスのひとつの集積として生まれたものですが、そこにMilles Brothersの存在も大きかったと思っています。そんなDoo Wopグループ、50年代、星の数ほどのグループが生まれていますが、今回はMills Brothersの歌ったGloriaをヒットさせたThe Cadillacs2Nd アルバム「The Crazy  Cadillacs」のご紹介。

彼等は50年代初期にニューヨークで結成、キャッチーな振り付けとゴージャスなグループネーミングで売り出されたそのデビュー曲がこのGloriaだったわけです。発売当初は大きな売り上げを上げたわけではないのですが、Doo Wopのスタンダードとなってその後多くのグループに取り上げられる名曲となりました。グループ自体は当時のトップグループであったCoastersのレパートリーのようなノベルティなアップテンポの曲をコミカルな振り付けで歌うことによって人気を博していきました。

このアルバムは2Ndアルバムにしてこのデビュー曲が収められているのですが、グループの性格を現すようにバラードとポップなアップテンポの曲が絶妙に配分されています。このころのDoo Wopグループのアルバムによくあるポピュラースタンダードを3連のバラードで唄うと言う試みがなされていないのが彼等のアルバムの特徴です。その後彼等は他のDoo Wopグループの御多聞にもれず、分裂後活動を縮小休止してしまうのですが、90年代末に行われた50’s60’sDoo Wopグループを一同に会した大きなDoo Wop Showに出演し元気な姿を見せています。

そのときにも当然このGloriaを歌っているのですが、Showの後半複数のグループがこのGloriaを唄い競うコーナーがあって、改めてこの曲がDoo Wopグループに与えた影響の大きさを思い知らされます。

このライブは映像化されて「Doo Wop 50」と言うDVDVideoで見ることができます。Cadillacsが唄ったあと、当時この曲をカバーしていた白人Doo WopグループPassionsのリードシンガーJimmy Gallagherが唄うと、同じくこの曲をヒットさせたVito & the SalutationsVito Balsamoがブリッジを唄い、最後はやはりこの曲の録音を残している The Channels Earl Lewis が絶妙のボイスコントロールで唄いきって大円団という涙ものの映像です。Doo wopファン、コーラスファンは必見です。

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