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Frank Sinatra「No One Cares」Capitol W-1221

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前回のJoanie Sommersのアルバムから「Why Try To Change  Me Now」繋がりで今回はFrank SinatraのCapitol期の秀作バラードアルバム「No One Cares」のご紹介。

「Why Try To Change  Me Now」この切ないバラードをSinatraは9年間続いたColumbia社との最後のセッションである1952年9月17日に録音し同社を去っています。
https://www.youtube.com/watch?v=aKsmKrYWBmE
40年代半ばにTommy Dorsey楽団を退団し飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼の美声。50年代に入りそれに陰りが見えるとColumbiaは彼を色々な曲、企画で売っていこうとしたわけです。しかしプロデューサーのMich Millerの企画ではSinatraの唄を活かすことが出来ず、Columbiaとの契約は早期解除という結果になってしまいました。
しかし、この50年代初期の彼の声は、40年代の美声の替りに深い陰影を持つ声に変わりつつあったわけで、それを生かせず契約解除を進めたColumbiaの最後の録音曲のタイトルが「Why Try To Change  Me Now」とはまさしく彼の気持ちを吐露した選曲で有ったのかもしれません。
Sinatraは次のレコード会社契約を当時新興で自分の自由が効くであろうCapitol社と結び、多くの優れたアルバムをリリースしていきます。
Columbia時代から優秀なアレンジャーに恵まれていたSinatraではありましたが、Capitol契約時それまでの腹心のアレンジャーであったAxel Stordahlがツアーに出てしまった結果、更なる躍進を試みるため、新たなアレンジャーにスイング曲ならBilly May,バラードであればGordon Jenkinsを希望しておりました。
しかしCapitolが用意したアレンジャーはモダンなジャズセンスが光る新鋭のNelson Riddle、この出会いがSinatraの唄をさらに深くそしてモダンなものにしていくことになりました。
しかし前述のアレンジャーたちとのコラボを諦めていたわけではなく、特にGordon Jenkinsは同じCapitolにおけるNat King Coleのバラードアルバムでのそのストリングスの巧みな表現に惹かれオファーをし続けていたわけです。
紆余曲折はありましたが、JenkinsとはCapitolで3枚のアルバムを作っています。
1枚目が秀逸な静寂のバラードアルバムW-855「Where Are You」、2枚目がクリスマスアルバムのW-894「A Jolly Christmas From Frank Sinatra」、そして3枚目が今回ご紹介するブルー・バラード・アルバム W1221「No One Cares」です。
木管と弦の低く広がる霧の中に深く響くSinatraの苦味を増した哀切感漂う声のこのアルバムのB面2曲目に収められているのが「Why Try To Change  Me Now」の再録ヴァージョンです。
https://www.youtube.com/watch?v=Qdgbrblz76s
Columbiaでこの曲を吹き込んだとき彼は37歳、そしてそれから7年の歳月が流れ40代半ばで再録音されたこのヴァージョンは、甘さが影を潜め深い陰影をもったバリトンヴォイスにJenkinsのストリングスアレンジが絡んだ秀逸な録音となりました。この曲に限らずこのアルバム全般でSinatraは歌詞を噛み締めるように唄い、そのために生まれる「間」にストリングスが浮き上がり、曲によっては声と弦のコール・アンド・レスポンスさえ生まれる、甘美だけれども得も言われぬ緊張感が漂うアルバムとなっていると思います。収録曲はTommy Dorsey時代やColumbia期の曲の再録が多いのですが、中でもDorsey時代初期のヒット曲「I Never Smile Again」の解釈が年輪を感じさせます。
「君がいなければもう微笑みやしない」という若い恋心を歌ったこの曲を、「今愛する者を失うともう誰も愛する気持ちも時間も無い」ことの寂しさ切なさを唄う歌に昇華させています。
59年というと時代はステレオ録音時代に入っていますが、私所有のオリジナルアルバムはモノラル盤。しかし弦の響きが重く広がる優れた録音となっています。ちなみにあわせて所有しているステレオ盤は80年代東芝からリリースされたもので、このアルバムの録音セッションで録音されながら、オリジナル発売されたときに未収録であった「The One I Love」が収録された当時の貴重盤です。

Side A
1. When No One Cares
2. A Cottage For Sale
3. Stormy Weatherter
4. Where Do You Go?
5. I Don't Stand A Ghost Of A Chance With You
6. Here's That Rainy Day

Side B
1.  I Can't Get Started
2. Why Try To Change Me Now?
3. Just Friends
4. I'll Never Smile Again
5. None But The Lonely Heart

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Joanie sommers「The “Voice” Of Sixties!」Warner Brothers W1421

Joanisommers

3年ぶりのブログの更新は前回のDinah Washingtonのアルバム「I Concentrate On You 」タイトルから曲つながり。

I Concentrate On Youという曲、あなたに夢中と意味ですけれど「Concentrate On」を辞書で調べると「集中する」「全力を注ぐ」「気を入れる」となっておりまして、要するにかなり気の入ったご執心状態であるという事ですね。Dinah Washingtonのドスの効いた唄でうたわれるともう絶対逃げられないという感じですが、Joanieのキュートな声で囁かれると受ける側もそれこそ一気に気が入っちゃう感じになりますね。

ということで、今回はこの曲が入っている、Joanie sommersのデビュー2作目のアルバム「The “Voice” Of Sixties!」のご紹介。このアルバムはMarty Paichの指揮編曲で録音された彼女のデビューアルバム「Positively The Most!」がリリースされた60年の翌年、今度はNeal Heftiの指揮編曲のもとその名も「60年代の声」というアルバムタイトルでリリースされた彼女の2枚目のアルバム。

既に前年「One Boy」のシングルヒットでポップスターの道を歩き始めた彼女ですが、デビューアルバムもこの2ndアルバムもジャズのアレンジャーによるスタンダード集。シングル盤は若者向けのポップな曲で、アルバムはスタンダード曲でLPの購入費を賄える大人の懐を狙うという当時のレコード会社のよくある戦略(Paul AnkaBobby Darinなどこの手の売り方が当時一般的でした)。

しかし同じスタンダードを歌うにしても50年代の歌手とは趣の違うその声はちょっとハスキーだけれどキュートな哀切感のあるもの、まさに60年代の新しい唄声だったわけです。

I Concentrate On You」を聞いてみるとWhenever skies look gray to me and trouble begins to brewと言う出だしをWhenever ski(h)es look.. gra(h)y to me(a) and trouble begins to(uah) brew(hu) 歌っている。

https://www.youtube.com/watch?v=ifu9oJQkL9A

つまり( )の部分に聞こえるか聞こえないか程の小さな溜息を入れているわけでこれが、聞いているほうにはキュンキュン来るわけですね。そんな彼女の歌がさらに切ない旋律と歌詞を得ると名唱を生む、B1曲目「Why Try To Change Me Now」がこのアルバムのベストでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=niZOToX7bd8

 

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