Ray Charles「Dedicated To You」ABC Paramount ABCS 355

Ray_dedicated

RayParamountに移ってからスタンダードのアルバムを数多く作っているのですが、それで彼の黒さが薄まっているわけではなく非常にソウルフルなスタンダードの解釈となって、それが私にはとても美味しく感じられるわけです。

この「Ray CharlesDedicated To You」と言うアルバムはParamountに移籍して2作目のアルバム、1作目はあの大ヒット「Georgia On My Mind」が入っている「The Genius Hits The RoadABCS 335

1作目が地名にちなんだ曲を集めた企画だったのに対し、このアルバムは女性の名前にちなんだ曲を集めると言う企画盤。

大レーベルでのあざとい企画かと言うとそうではなく、女性の名前にひっかけたなかなか粋な選曲になっているのがミソ。

曲目は「Hardhearted Hannah」「Nancy」「Margie」「Ruby」「Rosetta」「Stella by Starlight」「Cherry」「Josephine」「Candy」「Marie」「Diane」「Sweet Georgia Brown」12曲、バラードが多いのもソウルフルだけれどもムーディで聴きやすいアルバムになっている理由だと思います。

こういうスタンダードをレイが唄うのと他の黒人クルーナーが唄うのでは何が違うのでしょう。

ソウルが込められているとかブルージィだからだとかというのであれば他のシンガーだってそれぞれそういうものがあるわけで、やはり決定的に違うのは彼の唄に聞かれるうめき感だと思います。

決して美声では無く声域も狭い彼がレンジを越えた音域で発する声にならない声、そしてさりげなく、しかし、いたるところで聞かれるメリスマ、ブルースのタイム感それらが渾然一体となってソウルとなっているのではないでしょうか。

シナトラの唄「Nancy」、懐かしい映画から「Ruby」、ジョニー・マーサーの「Candy」、皆黒くレイに塗り替えられています。

古い曲「Cherry」、古きよき時代の優雅さと曲解釈のモダンさが見事に溶け合ってこの曲のベストヴァージョンになっていると思います。

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Ray Charles And Betty Carter DCC(ABC Paramount ABCS385)

Raybetty

Keelyがしっとり歌った「Cocktail for Two」。

この曲、Spike Jonesのワンフレーズごとにいろんな楽器でチャリを入れていく冗談音楽で有名ですが原曲はとてもロマンティックなバラード。

しかし、この雰囲気を壊さずに歌っているレコードというのがあまりありません。

今回はそんな状況の中、絶対忘れられないヴァージョン、Ray CharlesBetty Carterのデュエットでご紹介。

Ray1959年に7年間在籍して数多くのR&Bヒットを送り出したAtlanticレコードを離れ、多額の契約金をもってABC Paramountレコードと契約するのですが、この会社で「ストリングスオーケストラをバックにスタンダードを唄う」、「カントリー・アンド・ウエスタンのアルバムを作る」などの新しい企画作をリリースしていきました。

そんな諸作の中でジャズヴォーカルの奇才Betty Carterとのこのデュエットアルバムは当時結構話題になったのだと思います。

今でこそインプロヴァイスされたヴォーカルというのは奇異でもなんでもないのですが、当時のBettyの歌は好き嫌いが分かれるところだったのでしょうけれど、そこは声にならない声で歌うRayとの組み合わせで、彼のファンだったら違和感無く受け入れられる企画と考えられたのでしょうね。

アルバム全体を通して聴こえるBettyの声はキーの設定も有るのかも知れませんが、ハイノートでファルセット気味の声。

これが彼女の容姿とは裏腹の可憐な声と捕らえるか、カマトト声と捕らえるかで唄の趣も変わるわけで、ある意味2度(?)楽しめる企画かもしれません。

このアルバムの「Cocktail for Two」は、Rayのいかにもカクテル・ピアノ然としたロマンティックなイントロからスタンダードを唄うときのいつもの彼らしい抑えた唱でAメロが唄われます。

彼のスタンダードは、この抑えに抑えた唱からソウルが滴り落ちるようで私にはとても美味しく感じるんです。

Bメロで聴かれるBettyの声も素直ですが、Rayと同じように抑えているぶん思いが深くこめられた唱に聞こえます。

総じて言うとこのアルバム全体が二人の抑えた声、歌唱によって、逆に芳醇なソウルの横溢を感じさせる作品になっていると思うのです。

アレンジとオケはMarty Paichによるものですが、このアルバムでは余計な装飾は除き二人の唱に浸れる音作りになっています。

1曲目のEvery Time We Say Goodbyeでの2人の飾らない唱に寄り添う弦とコーラス、Paichにしては凡庸なアレンジと評されることもありますが、彼もまた抑えた音で溢れ出さんばかりの2人のソウルと才能を見事にまとめていると思います。

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Perry Como「A Sentimental Date With Perry Como」Victor EPB1177

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When Day Is Done」つながりで今回ご紹介するComoのアルバムは45回転17センチ盤が2枚組まれた所謂EP盤のアルバムです。

本来は同名のPM3035という10吋盤のミニアルバム化盤なのですが、オリジナル10吋が8曲しか収められていないものが、こちらは9曲構成、曲目も少し違っています。

12吋盤LPM1177の縮小盤というのが本当のところだと思います。

このEP盤というのが日本で言うドーナツ盤なのですが、裏表それぞれ複数曲収録されているのが日本とは違うところです。昔あった4曲入りコンパクト盤(CDではないです)と同じコンセプトなのですがコンパクト盤が33回転であったのに対しこちらは45回転。ダイナミックレンジが狭くなるところを回転数を早めて音質を稼いでいるので良い音です。

何より17センチサイズのジャケットがLPと同デザインでもまた違う雰囲気をかもし出しています。

正直このアルバムはジャケ買いで購入したもの。

SP時代の録音集ですので50年代中期~60年代の彼のアルバムたちと若干雰囲気が違っていて購入してからあまり針を降ろしていなかったのですが、こうして古風なジャケを見ながらノスタルジックなサウンド聴くというのはなかなか良いものです。

When Day Is Done」は、モダンなブルーバラードに仕上げたDarinのバージョンを聴いて50年代後期の曲かと思っていたのですが、実はかなり古い曲、30年代の曲ではないかと思います。

Sinatraも古い録音を残していますが、一日が終わるとき恋人のことを想うこの曲。

Darinは恋人のいない夜の帳に一人いる寂寥感をぎりぎりの切なさで唄っていたのですが、Comoの唄の柔らかい哀切感は、寂しさもまた良しと思える雰囲気です。With A Song In My Heart」「What’ll I Do?」「Body And Soul」「Carolina Moon」等彼のスムースなバラード唱法が楽しめるアルバムですが「「Love Me Or Leave Me」の柔らかスイング感も彼の持ち味です。

デヴュー当事のヒット集「Relaxing With Perry ComoLPM1176も同趣向のジャケットが楽しめる好盤です。

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Natalie Cole 「Unforgettable」Elektra 

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[That Sunday  That Summer]はもともとNat King Coleの歌。

Natalieの父親へのトリビュートアルバムでは当然Natと過ごした子供の頃のある夏の日曜日を唄っているわけで、Dinahのヴァージョンとは全く雰囲気が違います。

本来はこんな懐かしさのほうが切なさよりも前面に出た曲なのかもしれませんね。

このアルバムはNatalie Coleがレコード会社を移籍したときに新しい所属先のElektraレーベルからのデビュー・アルバムとして企画されたNatへのトリビュートアルバムで、当時話題になってかなり売れたアルバムだったと思います。

ブラコンの歌姫がスタンダードを歌う企画だったのですが、さすが小さい頃からショウビジネス界に慣れ親しんで父親の歌を身近に聴いて育っただけにストレス無く名曲達をこなしていますね。

父親の影響というよりやはりR&B世代で育ってきたソウルフルさが私的には美味しいところです。

もうチョッとアクが強ければコクが出たのかなとも思いますが、このアルバムがらみでTVなどの露出も大きくスタンダードを再度檜舞台に押し上げた功績を考えるとこのくらいのほうが万人向けで良かったのかも知れません。

タイトル曲を父親の音源とデュエットする企画はその後ポピュラーになりましたね。

名曲ぞろいでどれが良いとはいえませんが、やはり1曲目の「The Very Thought Of You」がNatへの思いが強くこめられていて心に残ります。

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Pasty Cline 「Sentimental For You」Decca DL 4282

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「That’s My Desire」つながりというとFrankie Laineと行きそうですが、ここで思い切ってアメリカカントリーポップスの女王 Pastyの名盤を。

ひとつの世界を極めた人というのは矢張り凄いといいましょうか、カントリーだとかポピュラーだとか細かいことを全て超越してぐんぐん響いてきます。

なんといってもソウルフル、これはジャンル云々ではなくまさしく魂に訴えかける唄です。

こういう大歌手はたぶんどんな分野で育っていっても頂点を極めたんだろうなと思います。

You Cheatin’ Heart」のようなこの世界の曲、「You Belong To Me」のようなポピュラーヒット、良い曲をさらに良い歌に変えてくれます。

でも「Anytime」のような当時のカントリーポップが一番彼女らしいです。

そんな意味でも代表曲「Heartaches」が最高です。

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Ray Charles「Sweet & Sour Tears」原盤ABC 480

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Ethelの情緒たっぷりのバラードで歌われる「I Cried For You」に比べるとこのRayの同曲はブラスで煽って躍らせるだけが目的みたいなつまらない曲になっています。

アルバムのタイトルを訳すなら「甘くてすっぱい」というよりも「甘くて苦い涙」という雰囲気のこのアルバム泣きと涙でびっしょりにするならこの曲もバラードで歌ってほしかったきがします。

Johnny Rayの「Cry」やDinah Washingtonも歌っている「You’ve Got Me Crying Again」のバラード解釈が彼らしくてしっくりきます。

逆に「Cry Me A River」が凡庸なのが残念ですが「No One To Cry To」「A Tear Fell」のようなカントリィとブルースの架け橋はこの時代の彼らしいです。

しかしなんといっても極めつけは「Guess I’ll Hang My Tears Out To Dry」。

まさに涙もかれはてたその先でさらに唄う、Rayのスタンダードバラード歌唱の真髄を聴くことが出来ます。

同様の企画の「Crying TimeABC 544も必聴です。

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Nat King Cole「Where Did Everyone Go?」Capitol SW1859

WheredidevryonegoNat King ColeGordon Jenkinsとのコラボレーションは前出の「Love Is The ThingW-824に続いて「The Very Thought Of YouW-1084と秀作が続きますが、同じくJenkinsを重用したSinatraが「Where Are You」「No One Cares」といった冷たさを感じる静謐感にあふれたアレンジに真っ向から詩を絡ませていくアルバム作りをしていったのに比べてColeはその声質のせいか穏やかで暖かさを感じる作品になっていますね。

Coleの場合高音から低音までよどみなく発声できる天性の美声があるわけで、Sinatraのような陰影を持った声の歌手とは編曲と唄との妙が違ったものになるのだと思います。

ただ今回ご紹介するこの「Where Did Everyone Go」は寂寥感漂うアルバムで、Gordon Jenkinsのストリングアレンジもまさにつぼを得ているといった感じでしょうか。

ジャケットもアルバムの内容をずばり表していますよね。

タイトル曲をはじめ孤独、寂しさを唄った曲の中「Laughing On The OutsideCrying On The Inside)」、顔で笑って心で泣いてという曲が文字どおり泣かせます

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Nat King Cole「Love Is The Thing」 Capitol SW824

Loveisthing

EttaはこのColeの「At Last」を聴いて自分も歌おうと思ったのでしょうか?

Vocal初心者本には必ず載っているこのアルバムをあえて紹介するのも何かと思ったのですが、「At Last」というとどうしてもこのレコードになってしまいました。

中学生のころ何故か彼のベスト盤を買いました。当時からロックもスタンダードも聴いていたわけですね。

このアルバムはスタンダードを本格的に聴き始めたころ国内プレスのモノラル盤を買って良く聞いたものです。

今回フォトアップしたのはステレオ米国盤。

当時のステレオカッティング技術では12曲載せることは出来なかったので、モノラル盤から「Maybe It’s Because I Love You Too Much」と「Love Letters」が除かれています。

56年録音なのでステレオ録音では無く擬似ステなのですが国内プレスのモノラル盤よりとても厚く豊かな音です。

何度も聴いてきたアルバムなので耳だこかと思ったのですが久しぶりに聴いてみると矢張り名曲揃い。中でも「Where Can I Go Without You」のドラマに引き込まれてしまいます。

下にアップしたのは最初に買った東芝モノラル盤です。Loveisthething2

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Rosemary Clooney And The Hi-Lo’s 「Ring Around Rosie」Columbia CL1006

Ringarounrosie

このアルバムは昔CDが出た時買ってよく聴きました。

Hi-Lo’sが好きになったのもこのアルバムからです。

Rosieと彼らの競演、Rosieのソロ、Hi-Lo’sのコーラスのみが4曲ずつバランスよく入っていて聴き易い構成になっていると思います。

ただRosieの唄がちょっと引っ張りぎみなのでHi-Lo’sのコーラスが乗ってちょうど良い感じです。

それでも一人で唄う「Everything Happen To Me」は情感があふれていますし、「I’m In The Mood For Love」はこのレコードでこの曲を知りました。

数年前オリジナル盤を手に入れて、今はその声の深さを楽しんでいます。

映像にもあった

Hi-Lo’sとの競演は企画アルバムになっています(Mambo Italiano」での競演はレコードになっていないのかも)

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Rosemary Clooney [Rosie’s Greatest Hits] Columbia CL 1230

Rosgrthit

[Tenderly」と言うと私の中ではすぐMusic CraftSarah VaughanBethlehemMel Tomeが思い浮かぶのですが、ここではヒットしたRosie盤で

よく考えるとこのアルバムを最初CDで買った理由はこの曲が聞きたかったからだと思います。

Sarahのヴァージョンを経験したあとで聴いたRosieの「Tenderly」は何の脚色もなく真実を伝えてくれる、まさに優しい「Tenderly」でした。

アルバム自体は彼女のSP盤を集めたものですから当然統一感はないのですが、ヒット曲を集めた編集盤なので有名曲がそろった楽しいレコードになっています。

Hey There」「Come On-a My House」「Mambo Italiano」等の有名曲でいっぱいなのですが、最近入手した彼女の映像がHi-Lo’sを引き連れて唄う「Mambo Italiano」。

こういう曲はやはり映像があるとさらに楽しいですね。

今回、アメリカ出張の際アナログ盤を見つけて買ってきたのですが、CDジャケの時から気になっていた右横のピンクのギザギザ丸、何の意味があるのか。

デザイン的に必要があるようにも思えませんし不思議です。

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