「The Mystics And The Passions」Laurie LES4010

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黒人Doo Wopグループが一世を風靡すると、白人たちも我先にとコピーを始め、コーラス・グループを結成しだしました。

それが白人Doo Wopグループ。 

Jo Staffordの「You Belong To Me」をリバイバルヒットさせたThe Duprees、「Since I Don’t I Have You」のヒットで知られるThe Skylinersなどが有名なところででしょう。

ニューヨークにあったLaurieレコードはBelmontsMysticsPassionsなどの白人 Doo Wopグループを多く抱えていたレコード会社でした。

今回ご紹介するアルバムは「Gloria」つながりでCadillacsの「Gloria」をカバーしてヒットさせたPassionsと同じレコード会社のMysticsをカップリングしたその名も「The Mystics And The PassionsLaurie LES4010

Jimmy GallagherをリードシンガーとするThe PassionsGloriaの黒人Doo Wopを彼らなりに昇華して白人層にも受けいれられるようクリーンにしているものの、コンセプトは黒人Doo Wopの常套句甘い3連バラードとノベルティなジャンプナンバーで幅広いファン層獲得。このアルバムで聞かれる「Gloria」はCadillacsよりさらに甘いのですが聞き比べると薄い感じがしてしまうのはしょうがないところ。その分、白人層に、特に若い女性たちには大いに受け入れられたのではないでしょうか?

対するMysticsは代表曲の「Hush A Bye」(アイルランド民謡をベースにしたあの哀愁あふれるHush A Byeとは同名異曲)がBeach Boysにカバーされたようにオリジナルはよりポップでその後のアメリカンポップソング然とした曲が多いグループ。簡単に表現するとPassionsは黒人Doo Wopを白人向けに、Mysticsはよりポップスコーラスを目指したグループということになるでしょうか。このアルバムはそんな2組の個性を明確にした選曲が楽しめるアルバムになっていると思います。

このアルバムでは特にMysticsDoo Wopの次に向かう方向性が斬新なのですが、Doo Wopの再発で有名なCollectablesから出された編集盤「The Mystics 16 Golden ClassicsCOL5043では黒人Doo Wopグループがよく取り上げるスタンダード・ポピュラーソングを彼らと同様に3連バラードで唄っている曲もコンパイルされており、スタートはやはり黒人Doo Wopのコピーからスタートしたであろうことがしのばれます。スタンダードの「Again」、「Over The Rainbow」等をDoo Wop風に唄っているのですが、黒人グループのような重厚さは希薄です。しかしその青臭さが逆に当時の女性ファンの心を捉えたのかもしれませんね。

The HarptonesThe Marcelsが得意としている「A Sunday Kind Of Love」は正統Doo Wopコーラスを彼らなりに重厚にかつロマンティックに聞かせてくれます。この曲は同じく白人グループのThe Regentsなども取り上げており、さながらDoo Wopグループの課題曲のようになっています。機会があれば聞き比べ、編曲やハーモニーの違いの妙を楽しんでみるのも面白いかもしれません。

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The Cadillacs 「Crazy Cadeillacs」Jubilee JGM1089

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Milles Brothersが後世のコーラスグループに与えた影響は多岐にわたると思うのですが、まずBarber Shop Groupとして市中の気軽な友人たちが声を合わせてみることから始めるということ。

そして器楽的アプローチ、特にベースパートの上にハーモニーを重ねていくことなどがあげられると思うのです。このベースパートのボン・ボボボ・ボンという音、黒人霊歌やブルースのコール&レスポンスから来るシャウト、掛け声、これが後のDoo Wopコーラスの基礎になっていったのではと思っています。もちろんDoo Wopはゴスペルグループやジャズコーラス等色々なコーラスのひとつの集積として生まれたものですが、そこにMilles Brothersの存在も大きかったと思っています。そんなDoo Wopグループ、50年代、星の数ほどのグループが生まれていますが、今回はMills Brothersの歌ったGloriaをヒットさせたThe Cadillacs2Nd アルバム「The Crazy  Cadillacs」のご紹介。

彼等は50年代初期にニューヨークで結成、キャッチーな振り付けとゴージャスなグループネーミングで売り出されたそのデビュー曲がこのGloriaだったわけです。発売当初は大きな売り上げを上げたわけではないのですが、Doo Wopのスタンダードとなってその後多くのグループに取り上げられる名曲となりました。グループ自体は当時のトップグループであったCoastersのレパートリーのようなノベルティなアップテンポの曲をコミカルな振り付けで歌うことによって人気を博していきました。

このアルバムは2Ndアルバムにしてこのデビュー曲が収められているのですが、グループの性格を現すようにバラードとポップなアップテンポの曲が絶妙に配分されています。このころのDoo Wopグループのアルバムによくあるポピュラースタンダードを3連のバラードで唄うと言う試みがなされていないのが彼等のアルバムの特徴です。その後彼等は他のDoo Wopグループの御多聞にもれず、分裂後活動を縮小休止してしまうのですが、90年代末に行われた50’s60’sDoo Wopグループを一同に会した大きなDoo Wop Showに出演し元気な姿を見せています。

そのときにも当然このGloriaを歌っているのですが、Showの後半複数のグループがこのGloriaを唄い競うコーナーがあって、改めてこの曲がDoo Wopグループに与えた影響の大きさを思い知らされます。

このライブは映像化されて「Doo Wop 50」と言うDVDVideoで見ることができます。Cadillacsが唄ったあと、当時この曲をカバーしていた白人Doo WopグループPassionsのリードシンガーJimmy Gallagherが唄うと、同じくこの曲をヒットさせたVito & the SalutationsVito Balsamoがブリッジを唄い、最後はやはりこの曲の録音を残している The Channels Earl Lewis が絶妙のボイスコントロールで唄いきって大円団という涙ものの映像です。Doo wopファン、コーラスファンは必見です。

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The Mills Brothers「Memory Lane」DECCA DL 8219

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前回のDotでの代表連作に引き続き、今回は彼等の全盛期Decca時代のアルバムを紹介。

デビュー時は“Four Boys And Kazoo”と呼ばれた彼等、コーラスと間奏にカズーを吹くという大衆的なバーバー・ショップ・コーラスグループが本番でカズーを忘れたことによって楽器の声帯模写でつないだことが、ギターと厚みのある斬新なコーラスでその後のモダンコーラスグループの祖となるハーモニーを生み出したわけです。

このアルバムを裏返すと曲目ごとに「Vocal and Guitar」つまり「それ以外の楽器は使っていない」と表記されていますが、確かに彼等の古い映像を見ると長男のJon Jr.がテナーギターで伴奏しながらベース音を口でハミングしていく上を3人の弟たちがハーモニーを重ねて、いかにもリズムコンボをバックに歌っているような効果を出しています。

ライブで彼等はJohnのベース音だけではなく、間奏のペットやトロンボーンなどの模写をして4人だけで歌っているとは思えないサウンドを作り出していたのですが、彼は30年代に亡くなっており、父親のJohn Sr.がベースパートを担当、ギター奏者は別にいるというユニットになりました。

そのJon Sir50年代に引退しており、このアルバム収録音源に彼の声が含まれているのかはよくわかりません。

それというのも聴こえてくるベースの音が肉声で作られているにしては非常に重厚であるからで、これがSrの声だとしたらものすごい技術ですが、どうなんでしょう?

コーラス自体にも楽器奏法や編曲の手法を取り入れたモダンコーラスの祖ともいえる高度な技術で組み上げられてると思うのですが、そんな難しさを表立って感じさせないスムーズで柔らかいアンサンブルに心が癒されます。

決してシャウトしない穏やかな唄で選ばれたアルバム収録曲は今では聴かれなくなった曲も多いのですが、「Nevertheless」「Lazy River」といった時代を超えて歌いつがれていった曲もあって「本来の曲の姿」とは何かを教えてくれます。

私的には、その後彼等の意思を更に時代の流れによって昇華させていったDoo-Wopグループたちによって好まれた曲「Gloria」の素朴な唄に癒されます。

彼等の飾らない懐かしい歌声を聴いているとあの二人で歩いた「思い出の小径」が二人で聴いた「思い出の旋律」がよみがえる、そんなジャケットも素敵な

Mills Brothersのアルバム。

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The Mills Brothers & Count Basie「The Board Of Directors Annual Report」Dot 25888

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Cherry1930年代にDon Redmanが書いた曲。

いかにも30年代という時代がうかがえる、始めて聞く人でも懐かしさを感じさせる曲だと思います。

前回ご紹介のRay Charlesの心を揺さぶる唄も良かったのですが、我々の世代ですとStanley Turrentine70年代にCTIからリリースした同名アルバムでのヴァージヨン。彼の泣きのサックスも良かったけれど、フィチャーされたMilt Jacksonのヴァイブの美しさも格別でした。

さて1968年のこのアルバム、「The Board Of Directors Annual Report」でのMills BrothersのヴァージョンはCount Basieに煽られてジャーズィにスイング。

ただでさえ懐かしさを感じさせる彼等の歌声にこの曲はぴったりかもしれません。

このアルバムはこの曲や「Blue & Sentimental」、「I’ll Be Around」という古い曲と「Sunny」や「Gentle On My Mind」といった当時の新しいめの曲をBasieサウンドに載せて唄うという企画。

実はこのアルバムの前年に同じ企画で「The Board Of DirectorsDot DLP 25838というアルバムがあって、その好評を受けての2作目ということ。

前作のアルバムは貫禄のあるBasieを中心に、これまた貫禄では負けないMillesの面々がテーブルについて会議中というジャケットで、タイトルの「役員会議」そのままの重厚だけれど洒落たアルバムでした。

今回のタイトルも「役員会の年度報告」といウイットに富んだもので、選曲のせいもあって前作より幾分モダンなつくりになってる気がします。

しかし元祖Barber Quartetと長い歴史をもつBasie bandとの競演、重厚でありながら全篇に流れるのは大人の粋ですね。

選曲には彼等の持ち歌も多いのですが新しい曲との違和感が無いのは統一感のあるアレンジ、やはりBasie Soundでしょう。

Basie時代のJimmy Rushingの「Sent For You Yesterday And Here You Come Today」やJoe Williamsとのご存知「Everyday」もMills Brothers の色に染まっているのがさすが。

こちらが競演盤の1st 

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The Barry Sisters 「Side By Side」Roulette R25136



インデッシュ語の歌でのヒットで知られるBarry Sistersはルーレットにスタンダードのアルバムが多い。
ポピュラーな選曲と、聴き疲れのしないアレンジの親しみ易いアルバムだが、技術に裏打ちされた自信のある歌と姉妹のコンビネーションのよさで聞き流しはもったいない。
透明な裏声にオブリガートされた「Fascination」は曲の持つやわらかさにさらに清涼感を加えたもの。
「Around The World」「Cry Me A River」「Come’ Prima」「Misty」「Who’s Sorry Now」「Autumn Leaves」などの当時お約束の選曲に絡めたシナトラソング「I’m A Fool To Want To You」「It’s Alright With You」が良い感じ。

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The Mary Kaye Trio「Night Life」20th Century-Fox Records TFM3117


ギターの名手と知れられ最近ではシグネチャー・モデルも発売されているMaryではあるけれどその音色が聞けるレコードは少ない。http://www.rrsoc.com/MKT/mkstrat.htm
Verveの「For The Record」やWBの「On The Sunset Strip」のジャケットではデアンジェリコを抱えているが残念ながら未聴(Verveのライブ盤「Up Front!」ではジャージィなカッティングとウクレレを聴くことができる)。
彼女たちのオリジナルメンバーでのラストアルバムであるこの「Night Life」でのタイトル曲のブルージィなギターは彼女のものなのだろうか?
クールなフェンダー・トーンが彼女の音だとしたらブルース弾きとしても相当なものなのだけれど。
アルバムのつくりは「Charade」「More」など当時のヒット曲を盛り込んだ肩のこらないものになっているけれど、彼女のたちの持ち味のショーアップされた洒落たコーラスワークがあまり聴かれない。
凝ったコーラスアレンジを小粋に、そしてそれぞれの持ち味をソロでじっくり聴かせてくれるのが魅力のグループであったのだけれど。
でも「Charade」「How Dose The Wine Taste?」での彼女のソロはとても魅力的、豊かな声とチャーミングな唄いまわしが絶妙にブレンドされている。
が、やはり「Night Life」でのブルース唄いでキャリアに裏打ちされた歌心を堪能できる。

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The Mary Kaye Trio「Too Much!」Warner Bros. 1222



コーラスというよりもエンタティナー・ヴォーカル・ショー。
気持ちよく通るMaryの声に絶妙に絡む男性ヴォーカル。
コーラスアレンジも凝っていて、ラウンジで聞いていたならさぞかし楽しいに違いない。
「Don’t Blame Me」「Lazy Afternoon」等のバラード表現のうまさもMaryの持ち味。
「You Are Too Beautiful」での兄Normanのバリトンにもしびれるが「Summertime」でのコーラスワークのよさが本来のこのグループのサウンドなのだと思う。
日本ではほとんど知られていなかったグループであったけれど、ギターの名手であるMaryのシグネチャーモデルが最近発売されて名前だけは知られるようになった様子。

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The Lettermen「A Song For Young Love」Capitol T1669


「The Way You Look Tonight」が自分にとって何故郷愁を感じる歌なのかこのアルバムを聞きなおしてみてあらためてよくわかった。
子供の頃聞いていた彼らのレコードのなかにこの曲があったのだと思う。
ここで取り上げたアルバムは彼らによってリバイバルヒットさせたこの曲と前出したPerry Comoでも紹介したSmile等が含まれた当時の彼らを代表するアルバム。
The Four LadsやThe Four Prepsのような正統派の大人のコーラスより先進的でモダンなコーラスワーク、そして何よりも若さ溢れる歌声とアレンジでロックン・ロールが席巻していた若者達の音楽生活の中に一服の涼風を吹かせていた彼ら。
ひたすらドリーミィな「The Way You Look Tonight」「When I Fall In Love」と比べると「Smile」は3連のビートがきいていて改めて彼らの若さを感じさせる。
その趣は[Valley High]「Dreamer」のようなPopな曲で顕著になる。
「In The Still Of The Night」のような古い曲をドリーミィかつフレッシュに生き帰させることが出来るのが彼らの魅力。
既に「Mr. Lonely」の大ヒットを予感させる 

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The Flamingos「The Fabulous Flamingos」Roulette


このレコードは今から30年近く前に買ったものだけれど、そのときはこのアルバムのA面が多くのポピュラー・スタンダードで埋め尽くされているのがわからなかった。
ニューヨークに移ってからの彼らはこのようにスタンダードを甘く夢見るようなムード・コーラスで包み人種を超えた人気を得たのだと思う。
「Time Was」のハーモニーはたとえようも無く美しい。
「Music Maestro Please」は今だこのコーラス以上の歌を聴いたことがない。
「I Only Have Eyes For You」は初めて聴いたとき彼らのオリジナルだと思ったくらい優美さと独創性が見事に融和されている。

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The Fontane Sisters 「A Visit With Fontane Sisters」Dot DLP30


彼女たちは「Most Of All」のみならず多くの黒人グループのカヴァーをヒットさせたことで有名らしいが、ここでは懐かしいポピュラーソングを奇をてらうことなくストレートに唄い良き時代のアメリカを蘇らせてくれる。
20年代の曲を含む選曲は日本にはなじみの無いものもあるが、やはり「Vaya Con Dios」「I Understand」「I Don’t Know Why」等後世に残る曲が良い。
ジャーズィさは望めないが当時のラジオから流れていたアメリカンスタイルのひとつの形であると思う。

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