Teri Thornton [ Devil May Care] Riverside RLP 352

Teri_thornton

Detour Aheadつながりで3ヶ月振りのブログ更新はTeri Thorntonの「Devil May Care」。

Detour Aheadは小品といわれているけれど、彼女のようにしっかり歌われると重い歌になります。

小唄風に唄われると「恋は悪い男に引っかからない様、回り道をしない様に」と一見お気楽な恋を勧めているようにも取れる歌なのですが、彼女のように深く唄われると過去にいろんなことがあった教訓の上に唄う、更に深読みをすると回り道をせずに生きるのは傷つかなくて良いけれど本当はそんな男と道ならぬ恋に落ちてみたい、しかし踏み切れない自虐まで聴こえてきそうです。

このアルバムは今から20数年前、まず国内盤で購入しました。

当時角川映画の「キャバレー」が封切られ、マリーンが歌う挿入歌の「Left Alone」が巷で流れるのを聴き,本格的なJazz Vocalのアルバムでこの曲が唄われているものはないかと探しているときに出会ったものです。

Mal WaldronBilly Holidayのために作曲しBillyが詞を書いたこの曲はBilly自身を含めVocalのレコードディングが稀なため、このアルバムは当時チョッと話題になりレコード会社も久しぶりに再発したものだったわけです。

魅力的なアルトヴォイスを巧みにコントロールして唄う彼女のLeft Aloneはマリーンのものより渋く深く私の心を打つものでした。

Winton KellyClark Terryといった名手にバックアップされたこのアルバムを聴いてから、Dinah WashingtonEllaSarahといったメジャーな歌手だけは無く、更に黒人Jazz Vocalistのアルバムを聴き進むようになったきっかけの一枚になりました。

今回ご紹介する盤は数年前に入手したオリジナルRiverside盤です。

一曲目の「Lullaby Of The Leaves」からClark TerrySelden Powelらの分厚いホーン陣に包まれながらFreddie Greenの刻むリズムに悠々とフレーズを載せて唄う深い声に引き込まれます。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

Pat Thomas 「Moody’s Mood」MGM SE4206

Pat2

前回の更新から

3ヶ月、やっとスタンダード・ヴォーカルをじっくり聴ける環境が戻ってきました。

実は前回更新時から次回はこのアルバムはと決めていたのですが、

今回は前回登場のPatが大手MGMに移籍してからの2枚目のアルバム「Moody’s Mood」。

前回ご紹介のStrandとは打って変わって夜のムード横溢のゴージャスなこのアルバム、編曲指揮はClaus OgermanLalo Schifrin、プロデューサーはあのCried Tayler

後にCTIサウンドをつくりあげるメンバー総動員と言うことは、レーベルがいかに彼女の素養を高くかっていたと言うことなんでしょうね。

彼女の唄は大きく抑揚をつけるとか思いのたけいっぱいに感情をぶつけて歌うというものではありません。

ちょっとミスティな声で静かに唄う歌に、抑えた気持ちが深く伝わってくる唄。

静謐さの中に深く強い思いを感じさせるのは、洗練されてるとはいえ根底に流れる黒いソウル故でしょうか?

Baltimore Oriole」「I’m In The Mood For Love」「Stranger On The Shore」等、通好みの曲の中「Detour Ahead」のような曲をひっそりと潜ませる選曲も良いですね。

落ち着いたラウンジ・バーで聴きたい歌手ですと言うのは贅沢でしょうか?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

Pat Thomas「Jazz Patterns」Strand SLS1015

Pat_thomas

My One And Only Loveほどの名曲になるとかなりのシンガーが録音を残していてAll Music Guideで検索してみると簡単に3040人は出てきます。

私のレコード棚をつついても2030人は出てくると思います。

みな情感たっぷりに唄っているのですが、今回ご紹介するPat ThomasKenny Burrellのギターだけをバックに「しっとり」としかし意外とあっさりと唄っている印象。

彼女はミスティな声質ですが、高い音では霞が消えて澄んだ清楚な声に変わり、淡々と唄っているようでその声の変化が唄を印象深いものにしているんですね。

クレジットは無いのですが、バックを固めるメンバーは, Tommy Flanagan(p), Booker Little(tp), Curtis Fuller(tb),Roland Alexander(ts, fl), Teddy Charles(vib), Kenny Burrell(g), Reggie Workman(b),Charlie Persip(ds)と云う錚々たるメンバー。

彼女の歌も悪くはありませんが、凄腕たちのソロがさらに唄を引き立ているアルバム作りとなっています。

マイナーっぽいレーベル、ノンクレジットでこれだけのメンバー、プロデューサーの彼女にかける意気込みが伝わるアルバムです。

彼女もその期待にたがわぬ唄を聴かせていますが、さらにこのアルバムが有名な理由は佳曲Star Eyesを全編ハミングで歌っていること。

Teddy Charlesのソロを挟んで2コーラス、歌詞なしのハミングで歌いきっているのですが、いわゆる鼻歌を立派な唄にしたと言うことで話題になった盤です。

所有盤はオリジナルステレオ盤ですが、どういうわけか盤質が良くありません。

CDが出ていた時期に買っとけばと悔やまれるアルバムでもあります。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

Mel Torme 「Prelude To A Kiss」Tops L1615

Preludetoakiss

Tormeはバラードアルバムが少ないと書きましたが、Bethlehem時代は「it’s A Blue World」、Verveでは「Tome」、Columbiaの「that’s All」などそれぞれの時代に代表的なバラードアルバムがあります。

でも私にとっては何か硬いんですね。

SinatraってCapitol時代以降、バラードアルバムとスイングアルバムを交互に出していたイメージがありますが、そんな彼のバラードアルバムは硬軟色々で重いアルバムのあとには柔らかいものを選んで聴くようにしていました。

Tomeの場合「that’s All」で一息つけるのですが、あとなかなかそういうアルバムがなくてつい「Musicraft」時代のレコードで一休みすることが多いです。

今回紹介するTopsの「Prelude To A Kiss」はBethlehemVerveの狭間期の録音。

女性と二言三言会話してから口説きの歌に入ると言う企画。

バラードアルバムではないのですがソフトなオケに乗リラックスした声でふわふわ歌われると心地が良いです。

ちょっとテンポのある曲でも全篇スラーで歌っているのでとってもスムーズです。

何かMuscraft時代に戻ったような雰囲気です。

ところでこのアルバム、私の持っているTopsのオリジナル盤はとても音が悪いのです。

同じ録音ですがSpin o ramaというレーベルで「Velvet Mood」と言うタイトルで再発されているのですが、この音は綺麗です。

さらに日本フォノグラムからPhilips盤国内プレスが「This Is Mel Torme」と言うタイトルで出されています。

この音はさらに綺麗です(深みはSpin o rama盤のほうがあるかもしれません)が曲間の女性とのやり取りがカットされ、岩波洋三さんの解説ではボブ・フリードマンの編曲指揮となっています。

Tops盤は堂々とマーティ・ペイチとクレジットされていて不思議です。

でも編曲の柔らかさはボブ・フリードマンで正解かもしれませんね。

全部で同じ録音を3枚持っていると言う変なことになってしまいましたが、タイトル曲や「I’m Getting Sentimental Over You」などバラード曲は本当にため息が出るほど柔らかくて甘く、仕事でぴりぴりした気持ちを和ませてくれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Mel Torme 「Sunday In New York」Atlantic 8091

Sundayinnewyork

今日は日曜日なので「Autumn In New York」つながりで「Sunday In New York」を聴いてみみることに。

メル・トーメのアルバムを聴くといつも何か落ち着けないのは何故か考えてみました。

たとえばシナトラの場合、殆んどのアルバムをバラードかスイングするものかに分けて製作しています。

しっとりとした唄を聴く時はバラードアルバムを、気持ちを高揚させたい時はスイングアルバムをと言った聞き分けが出来るのですが、トーメの場合バラードアルバムというのがそう多くはないです。

まあライブに行けば殆んどの歌手が緩急取り混ぜてひとつのステージを行うわけで、アルバムの中でテンポの違う曲が並んでいても普通に聞けるわけなのですが。

トーメは才人なので一枚のアルバムの中でいろんなことをやろうとする気持ちが強くこめられているのでそんな感じに聞こえてしまうのかもしれませんね。

このアルバムもニューヨークをテーマにしたコンセプトアルバムなのですが、複数のアレンジャーを起用し、さまざまタイプの曲を歌っていますのでそんな感じは拭えません。

それでも「Lullaby Of Birdland」や「The Brooklyn Bridge」などはストレス無く聴けますし、「There’s A Broken Heart For Every Light On Broadway」の構成など凝っていてもスムースです。

なんとなく忙しないアレンジや構成の多い中[Autumn In New York]や「Harlem Nocturne」の滑るようなバラードを聴くと、ニューヨークを歩きつかれてちょっと公園で一休みしているような気分にさせてくれます。

でも「Harlem Nocturne」ってVocalバージョンあまり聞かないですね。

このアルバムを手に入れた時はちょうどあの9.11の年。

ジャケットに映るニューヨークの街は60年代のものですから当然「貿易センタービル」は無いわけなのですが、それがとても寂しく感じられたものでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Jeanine Thomas「Sings For The Boys」Stand SLS1030


一見素直に唄っているようで実は曲者。
バラードでかすれさせている声は色っぽいのだけれど、透明な囁きに清楚さを感じさせる。
「Stardust」のバースが終わりコーラスに入ったとき、唄いだしのBesideのsiのかすれがたまらない。
かと思うとリズミックな曲では妙に落ち着いた風情で唄いきる貫禄もある。
幻想的な「Summertime」コケティッシュな「Misty」、女性ヴォーカルヴァージョンではかなりの高得点ではと思える「Angel Eyes」等聞き逃せない唄が続くが「I’ll See You In My Dream」が可愛い。
Klaus Ogemannの編曲がジャージィ、パーソネルを調べたくなる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Constance Towers「Sing To The Horse Soldiers」United Artists UAL3036


古風な唄い口、回顧的企画のユニークなアルバム。
何曲かノベルティな曲はあるけれど、綺麗なバラードが心に染みる。
スローで唄われる「You’d Be So Nice To Come Home」はもともとこのテンポの曲だったと思う。
彼女の声は綺麗なだけでなく哀しい響きがある、結局「あの人は家に帰ってこない」のではないかと思えるほど。
家庭のぬくもりを誘う「Home」もやはり切なく響く。
この2曲が重なるMatt Denisの「Welcome Matt」とは対称的なアルバム作り。
ジャケットや企画の派手さとは裏腹な[ひっそりさ]がいつの間にか癖になりそうな盤

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ちあき・なおみ「What’s New」日本ビクター(Invitation) VIH28247


情感の歌手というと彼女が最高だと思う。
このアルバムは、「スタンダードに日本語の歌詞をつけ斬新なアレンジで唄う企画」「日本の名歌をそれこそ情感いっぱいにしっとり歌い上げる企画」「ポルトガルのファドに日本詞をつけ彼女のオリジナルとまごうばかりに歌う企画」「シャンソンを彼女の歌にしてしまう企画」等、当時(70年代)の彼女のオリジナルアルバムをコンピしたレコード。
「四つのお願い」や「矢切の渡し」での情感、情念をモダンなドレスに包んだ新しい(いや本当の)彼女の姿を捉えるには絶好のアルバムだと思う。
この中の「夜に踊れば」という曲が「I’ve Got A Crash On You」だということに気がついたのはこのアルバムに何度か針を下ろしてからのことだった。
それだけ全く違う曲に仕上がっているのだが、その新しいセンスが当時のガーシュインのモダンさと通じるところがありその小粋さがさわやか。
「愛のため死す」はアズナブールの「Mourir D’aimer」、大人の恋を終わらせるのがどんなに辛いものかを知らしめるのにこれ以上の表現はない。
さらに「鈴かけの小路」「夜霧のブルース」等の名曲に彼女を塗りこんでいくその道行きに凄さを感じる。
名曲「港の見える丘」のアプローチはこの時期の彼女ならでは。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Mel Torme「Right Now」Columbia CS9335


Columbiaというレーベルは本当に恐ろしい会社だと思う。
「That’s All」という素晴らしいバラード・アルバムを作ったあと、当時の若者向けのポピュラーヒットをごった煮にして大Jazz歌手のMelに録音させるのだから。
その中でも「Comin’ Home Baby」と「Strangers In The Night」は好感の持てる出来になっている。拾いものは「Secret Agent Man」、秘密諜報員を気持ち良さそうにのって歌っている彼の才能には驚かされる。しかしその他の曲はその才能を持ってしても凡庸にまとめることしか出来なかった。
昔Elvisの伝記のなかに、TV番組でMelが唄っているシーンでTVに椅子を投げつけて壊してしまうという件があったがこんな時期のことだったのでは。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Diana Trask「 Diana Trask」Columbia CL1601


ジャケットで見せる愛らしい表情とは裏腹に、しっかりしたガッツのある歌を聞かせるDiana。
バラードが並ぶA面は音程が不安定な部分があったり、力みが目立つところがあるが、若さゆえの一途な思いの込め方が伝わってくる。
「Little Girl Blue」では少女が幼い自分の気持ちを精一杯強がって大人の女に成長しようとしている。
Glenn OsserのオケにのせてスイングするB面ではぐいぐいリズムに乗って唄う。
A面と打って変わって自信いっぱいスイングする唄は若さがあふれていて気持ちが良い。
「The Gypsy In My Soul」ではちょっと背伸びした唄い口が微笑ましい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

A | B | C | D | E | F | G | H | J | K | L | M | N | O | P | R | S | T | U | V | W | Y | コーラスグループ