Dinah Washington [I Concentrate On You] Mercury MG20604

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Dinah59年に放った「What A Difference A Day Makes」はBillboard45位まで登るヒットとなりました。 

なんだ45位かと思われるかもしれませんが44位がElvis Presleyの「I Need Your Love Tonight50位がRay Charlesの「What’d I Say」ですから、凄いことだと思っていただきたいです。 

因みにこの年の第一位はJohnny Hortonの「The Battle Of New Orleans 

以下2位にBobby Darinの「Mack The Knife」、3位. Lloyd Priceの「Personality、4位はFrankie AvalonVenus」、5位にやっとPaul AnkaLonely Boy」、6位に再びBobby Darinで「Dream Lover」というすごい年。 

ロックンロール旋風が少しポップな曲に風向きを変え、Bobby DarinFrankie AvalonPaul Ankaといった若い世代を購買層に狙った歌手・曲がヒットしている時代に45位のヒットをスタンダー曲で成し遂げるというのは凄いことだと思うのです。

 

ヒットの要素にこの時代既に黒人のR&Bが市民権を得たなかで、甘いストリングスに塗されたこの曲が3連のバラードだったことが挙げられると思います。 

3連のバラード、つまりDoo-Wopやロカビリー歌手が唄うバラードで使うリズム、いわゆるロッカ・バラードと言われるバックビートの効いたバラードに近いリズムが彼女のブルース唱法に見事にマッチして、得も言われぬ、アーシィだけれどモダンな雰囲気を醸し出したからだと思います。 

この3連こそがスローブルースの3連ののりでポピュラーを歌いこなす彼女の魅力を開花させたのではないでしょうか。

 

Belford Hendricksによる、この3連のバラードに甘いストリングスとコーラスを塗すアレンジに気を良くしたプロデューサーのClyde Otisは、翌60年から61年の初頭までこの手のアレンジのバラードを彼女に大量に歌わせ録音します。 

埋もれているスタンダードの歌曲を、大衆に浸透してきた黒っぽさを強調した彼女の唄で歌わせることで、2匹目What A Difference A Day Makes」のヒットを生みだし、彼女をJazzR&Bの女王ではなくポピュラーシンガーの女王に登りつめさせようとしたわけです。 

そんな録音の中からコンパイルして59年、「Unforgettable」(MG20572)のあと60年に「For Lonely Lovers」(MG20614)と共にリリースされたのがこの「I Concentrate On You」です。 

Dinah自身もポピュラーシンガーの女王の地位は何よりも望んでいた場所だったのだと思います。 

それはこの時期の録音にFrank Sinatraの持ち歌を数多く録音していることでも察しられます。 

[Lean Baby[Time After Time][This Love Of Mine][I’m Fool To Want To You]のような比較的取り上げられることの多い曲の他に「Everybody Loves Somebody」のようなDean Martinがヒットさせる前に、Sinatraが2度も吹き込んみながらヒットさせらなかった曲まで吹き込んでいるのは驚きです。 

ポピュラーシンガーの女王の地位に憧れる彼女としてはポピュラーシンガーの帝王であるSinatraに憧れ、彼の歌を唄うというのは自然なことだったのではないでしょうか。 

これらの曲の選曲はプロデューサーの意思だけではなく、明らかに彼女の意思があったのではと思います。

 

ということでこの「I Concentrate On You」はSinatra57年のシングルチャート60位の曲「Crazy Love」の濃密なカバーで始まります。 

この曲はPaul Anka58年のヒット曲「Crazy Love」とは同名異曲、Paulの「逃げ出すことのできないほどの狂おしい恋の虜になってしまった想い」をストレートに歌った曲とは違い、まるで若い時の様に狂おしい恋に陥っている自分を楽しんでいる大人の恋の歌。 

殆どカバーされることのないこの曲を彼女は58年のNewportJazzフェスで唄ったあとここでも再録している、つまり2度も録音している訳です。 

これは恋多き女の彼女としては、まさにハマリの曲であるとともに、Sinatraフリークであったであろうことを印象づける選曲です。 

この曲を含め全曲を、体のなかでリズムをシンコーペートさせ、その上にフレーズを載せて唄う、思い切りタメを利かせて唄い始める場合は、ゴスペルやブルースで云うシャウトつまり唄い出しでひと節軽く唸ってから唄う、フレーズにメリスマを効かせさらに短く切る等ブルースの乗りで唄い切っています。 

Fool That I Am」「I Concentrate On You」、さらに同じ乗りで歌われる「Good Morning Heartache」を聞かされているとどっぷりと彼女の世界に浸っていることの快楽に溺れてしまいます。 

この時期台頭してくる新しいR&B、つまりソウルミュージックも彼女のソウル度に拍車をかけたのかもしれません。 

本来彼女が影響を与えたR&B唱法が淘汰されたソウルミュージックに、彼女がまた刺激を受け彼女の歌を形作っていくそんな時代だったのだと思います。

 

そんな彼女の自信が現れているかのようにキュートに笑うポートレートをジャケットにしたこのアルバムがどれだけのセールスを得たかはわかりませんが、この年彼女はBrook Bentonとのデユエットアルバム「The Two Of Us」をリリース、その中に収録されている「A Rockin’ Good Way」をシングルカット、ヒットチャートの75位まで引っ張り上げるのです。 

Ray CharlesGeorgia On My Mind」が同年の78位という事実からするとかなりの健闘ということになります。 

2年続けてのヒットもあって彼女もいよいよポップチャートに進出、ここでも女王の位置をつかめると確信したのでしょうが、会社の売り方に問題があったのか彼女の唄が万人のものになるには時期早々だったのか、その後もアルバムを出し続けるのですが、結局その位置に座ることは叶わずに彼女は62年、Mercuryを去りRouletteへと移籍して行くのでした。

 

 

 

 

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Dinah Washington「The Queen」Mercury MG20439

Queen

このコラムも更新がとぎれとぎれになってしまいましたが、いよいよ300枚目のアルバム紹介です。

記念すべき300枚目はやはりDinah Washington

前回の「A Stranger On Earth」からDinahつながりで彼女のMercury時代中期のある意味ひとつの頂点言えるアルバムThe Queenを取り上げることにしましょう。

なぜ「ひとつの頂点」なのか?

彼女はMercuryと契約してから多くのレーコーディングを行なってきましたが、1953年頃よりJazzに傾倒したアルバムの録音を始めています。

著名なアルバムとしては、良く彼女の代表作として紹介されることの多い「Dinah Jam」が挙げられます。

しかし私はこのアルバムは彼女の良さが出ているとはあまり思いません。

スタジオでの白熱のJamセッションをライブで録った臨場感はあるのですが、セッションという他のメンバーよりも自分を強調する状況での彼女は、大きな声で強くシャウトする場面が多く(もちろんそれも彼女の彼女らしい一面なのですが)、一語、一フレーズを類稀なブルースフィーリングでじっくり歌い込む彼女の最良の部分が、喧騒にまみれて勢いで歌を唄いきってしまって活きていないと思っています。

しかし現在(2011)日本のレコード会社がCD化している彼女のオリジナルアルバムはこの「Dinah Jam」とMercury後期のヒットアルバム「What A Difference A Day Makes」の2枚だけなのです。

私はDinahを初めて聞く方に絶対「Dinah Jam」を勧めません、これを最初に聴くことによって彼女を大きな声でガンガン唄う黒人女性と思われ、その他の彼女のアルバムが聴かれなくなってしまうことを恐れています。

Mercuryは「Dinah Jam」の録音された1954年の前年頃よりJazzコンボでの録音を増やし、自社のJazzレーベルであるEmarcyで「After Hours With Miss D」「For Those In Love」「The Swingin’ Miss D」などの非常に優れたJazz Vocalアルバムをリリースしています。

JazzサイドのDinahを聴くなら「Jam」より先にこれらのアルバムを聴かれることをおすすめします。

情けないことに国内プレスはありませんが、輸入盤なら安価に入手できる時代となりました。

彼女はEmarcyでさらにゴージャス感のあるアレンジの秀作「Dinah」「In The Land Of Hi-Fi」、そしてMercuryからFats WallerBessie Smithへのトリビュート2作をリリースし、そして58年にあの「Newport Jazz Festival」への出演と、Jazz Vocalistとしての高みに昇っていきます。

Newport」での実況盤「Newport’58」がリリースされた翌年、同フェスのドキュメント映像を編集した映画「Jazz On A Summer’s Day」が封切られた59年に、EmarcyではなくMercuryからリリースされたのがこの「The Queen」です。

59年のリリースとなっていますがほとんどの音源が録音されたのが57年、まさに彼女の知名度が上がっていた時期にポピュラーレーベルのMercuryから、その名も彼女の輝かしい俗称「The Queen」のタイトルで満を持して出された頂点の1枚だということになります。

アルバムの1曲目は「All Of Me」。

Newportで歌われ、映画「Jazz On A Summer’s Day」で彼女を強烈に印象づけたこの曲は、実はNewportのライブの8ヶ月前に一度スタジオ録音されていた訳で、それがあのコンサートでの自家薬籠中に歌う彼女につながっているのかなと納得します。

B面の1曲目はさらにこのアルバムで最も重要な曲「I Remember Clifford」が収録されています。

あの「Jam」で共演したClifford Brown56年に自動車事故で亡くなり、Benny Golsonが翌年作曲したこの哀悼曲を一番初めに録音したのはDinahではないかと思います。

*因みにCarmen McRaeDeccaのアルバム「Carmen for Cool Ones」の為にこの曲を録音したのが5712月、Dinahのこの録音は11月)

Clifford競演した彼女だからこそこの曲を最初に唄う権利と技術も併せ持っていたわけで、それがこの名唱を生み出していると言っても良いのではないでしょうか?

亡きCliffordの思い出を切々と感情を込めて唄う導入部、溢れんばかりの想いをひたすら抑えて迎える終章、まさに絶唱です。

彼女の想いを代弁するかのようなラストのトランペットソロ(多分Clark Terry)等アレンジも秀逸なこの素晴らしい曲が収められている、彼女のひとつの頂点と位置づけても良いアルバムが現在(2011年)、アメリカ本国でもCD発売されていないのがなんとも残念でたまりません。

このアルバムがリリースされた59年、Mercuryはあの「What A Difference A Day Makes」を発売、次のターゲットであるポピュラーヴォーカルの頂点を目指す時代が始まって行くのです。

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Dinah Washington「A Stranger On Earth」Roulette SR25253

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今回は Billie Pooleがアルバム「Sormonette」で唄ったDown In My Own Tears」繋がりでDinah WashingtonRoulette時代のアルバム「A Stranger On The Earth」のご紹介。

実はDinahはこのRay Charlesの創唱したR&Bの名バラードを人生で2度録音しています。

最初の録音は1956Mercury Record時代、ちょうどRayの吹き込みの1年後ぐらいのことになると思うのですが、タイトルを「I’ll Drown In My Tears」として

とても素晴らしいR&B,Soulヴォーカルの化身のような録音を残しています。

しかし、どういうわけかMercuryはこの録音をレコードにしていないようです。

私の所有している「The Complete Dinah Washington On Mercury vol.5」の解説にはこの曲は未発表ということでレコード番号が振られていないのです。

この時期はMercuryが「For Those In Love」「The Swingin’ Miss D」「Dinah」「In The Land Of Hi-Fi」という彼女の人生の中でももっとも充実したJazzやジャーズィなスタンダードアルバムをリリースしていた時代。

会社の方針はあの「Dinah Jam」で注目を集めたあと、上記のようなJazzよりのアルバムをリリースすることで彼女をSarah Vaughanよりもさらに黒いJazzヴォーカリストとして位置づけたかったのかもしれません。

そんな時期このSoulヴォーカルの化身のような「I’ll Drown In My Tears」をリリースすることは戦略的に躊躇することだったのかも知れません。

それから5年後、1962年彼女はMercuryからRouletteに移籍します。

そして63年に亡くなる短い期間に90数曲の録音と9枚のアルバム残しています。

ここでタイトルをDown In My Own Tears」に戻した録音は2枚のアルバム「Dinah 63http://bluesvoice.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/dinahwashington_2e65.html

今回ご紹介する「A Stranger On Earth」に収められて発売されています。

この2枚のアルバムに収められているヴァージョンは同じテイクのものだと思いますが、時間があればピッチ等を測ってまったく同じものかチェックしてみたいと思っています。

このルーレットというレーベルはJazzからPopsまで幅広く、悪く言えば節操なくいろんなジャンルのポピュラーレコードを集中的に量産したレーベルですが、それがJazzBluesR&BだとジャンルにこだわることなくDinahのありのままの唄でより自由でモダンな歌を残す結果になったのだと思います。

この「A Stranger On The Earth」は彼女が亡くなってからリリースされたもの。

彼女の残された録音と既発アルバムからブルージィな曲、ブルースよりの曲を集めてアルバムとしてまとめています(本来この曲は「Dinah 63」に収められ、彼女の死後、よりブルージーな選曲の「A Stranger On Earth」に再収録されたものと思われます)。

彼女はデビュー時から「ブルースの女王」と呼ばれていましたが、あまりにもはまりすぎているため12小節のブルースを唄ってもあまり印象が残りません。

やはりスタンダードをブルースにして唄ってしまう、その感触がよいわけでそのもっともよい部分が表れるのがやはりこの曲Down In My Own Tears」のようなソウルバラードだと思います。

このルーレット録音では混声コーラスを従え、まるでゴスペルのようなコール&レスポンス風のアレンジで歌っています。

深さではMercury録音に軍配が上がるかもしれませんが、モダンさではこのルーレット録音に惹かれます。

そう意味でタイトル曲の「A Stranger On Earth」も彼女の黒さとモダンさが絶妙にブレンドされた佳曲だと思います。

このような録音を残したDinah、本当にあのまま彼女が生き続けて、唄い続けていたならR&Bにポピュラーヴォーカルにどのような影響を与え続けていったのだろうかと悔やまれてなりません。

そして彼女の偉大な功績がルーレットという,何でもありのレーベルで終わったことによって埋もれてしまったことも非常に残念です。

この時期の彼女の歌がもっと聞かれ、再評価されることを心から願います。

ルーレットはEMIに吸収され、今ではCD化された作品も多く比較的容易に聞くことができるアルバム多くなってきました、このブログにお立ち寄りくださった方、是非一度お聞きになることをお勧めします。

*このアルバムでは「The Blues Ain’t Nothin’ But A Woman Cryin’ For Her Man」「Nobody Knows The Way I Feel This Morning」「Me & My Gin」などのストレートな12小節ブルースも収められていますがMercury時代のブルースよりもリラックスしてモダンです。

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Dinah Washington「Newport 58」Emarcy MG3614

Dinha_newport58

今でこそ色んな映像が安価な

DVDやy-tubeで見られますが、ミュージシャンの映像は音楽映画かミュージカル映画でしか見られなかった時代があったんです。

特に50年代のJazz映像なんて皆無に近い中、Newport Jazz Festivalの映像を楽しめる「真夏の夜のJazz」は貴重な音楽映画でした。

この映画で3人出ている女性Vocalistの一人がDinah Washington

始めてこの映画を見たときは(私も年齢からいってリアルタイムは無理、70年代のリバイバル上映で見ました)南京袋のような服を着た、短い髪の黒人女性をずいぶん迫力のある女の人だなと思ったものです。

でも笑顔がとてもチャーミングで、昼のステージの艶やかなAnita O’dayとはまた違う魅力にひきつけられたものです。

この映画のDinahの歌は「All Of Me」だけでしたが、このときの演奏を4曲収めたのがこの「Newport 58」です。

実はこのときのライブ音源は6曲録音が残されています。

Lover Come Back To Me ②Crazy Love ③Send Me To The ‘Lectric Chair ④Me And My Gin ⑤Back Water Blues ⑥All Of Me6曲ですが、このアルバムには①②⑤⑥の4曲が収められています。

     ④⑤はこの年の初めに発売された「Dinah Sings Bessie SmithEmarcy MG36130からの曲になります。

Bluesの女王と言われたダイナがBluesの皇后ベッシー・スミスの曲を歌うと言う企画はまさにはまりの企画だったわけですが、アレンジの古臭さとはまりすぎ故に印象に残らないブルース曲集になってしまったのは否めないところです。

さすがにこのライブバージョンはアレンジをモダンにしてありますが、いまさらブルースを並べても鼻につくと言うとこなのか⑤のみ収められています。

     はあの「Dinah Jam」でも唄われている曲ですが、「Dinah Jam」がソリストたちの

アドリブ合戦に負けまいと彼女の唄も気負いすぎたり、性急だったりと落ち着きの無い唄だったのに比べると、このNewport盤での唄はとてもリラックスしていています。

     はこのアルバムの中でも一番印象深い曲。

このCrazy Loveはこの年ヒットしたPaul Ankaの同名曲ではなくSinatraが前年にシングル盤を出していた佳曲。

サミー・カーン作曲の哀切感溢れるこの曲だけ、このライブ録音が彼女にとって始めての録音です。

この時期彼女は「Everybody Loves Somebody」も録音していますし、この2曲を取り上げると言うことは相当なSinatraファンだったのではないでしょうか?

彼女が唄ったシナトラ・ソングを調べてみるのも面白いですね。

Crazy Loveはその後スタジオ録音をされアルバム「I Concentrate On YouMercury MG20604に収められています。よっぽど気に入った曲だったのでしょうね。

⑥は映画で使われた曲、途中彼女もマレットを持って、Terry Gibbsのヴァイヴに割り込んでいくのですが、レコードで聴いてみるとちゃんとカウンターメロディを叩いているのが判ります。

当時海外の一流歌手の歌う姿なんて滅多に見ることが出来なかった時代、この映像を見て多くの日本の歌手がAll Of Meに挑戦したのでしょうね。

「真夏の夜のジャズ」まだご覧になっていない方、お奨めです。

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Dinah Washington「What A Difference A Day Makes」Mercury SR6015

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しばらくお休みしていた「この曲、この人、この一枚」。

半年ぶりの再開は、「What A Difference A Day Made」つながりでこの超有名盤。

本来このブログは、あまり知られていない人の、あまり知られていないアルバムの紹介ということで始めたのですけれど、近年Vocal好きの方たちでもこのレコードは知らないという方も多い、ということで今回アップ。

50年代末録音のこのタイトル曲、どういう訳か70年代の日本でかなり流行りました。

TVCMで使われたのがきっかけかもしれないけれど、同時期Ether Phillipsのディスコ・ヴァージョンがヒットしたりで、このアルバム自体もかなり注目を集めることに。

全編3連のリズムにストリングスと女性コーラスが絡むBelford Hendricksの大甘アレンジがベタなバラードアルバムなのですが、Dinahの唄はソウルバラードの原型ともいえる、はまったら抜けられなくなる粘着系。

初めて聴いた彼女のアルバムは「Dinah Jam」でしたがセッションのせいか演奏に取り止めが無く、彼女の喚きまわる唄も情感が乏しくて彼女自体にも興味がわかなかったものです(今でもあのレコードは滅多に聴きません)

そんなときこの曲、このアルバムを聴いて一気に彼女にはまってしまいました。

ここで唄っている曲は全て良い曲ばかりですがA面の1曲目「I Remember You」から深いですね。

I Won’t Cry Any More」なんてこの唄のベストかなって思っています(Tony Bennettが次かな)。

A面最後の「Cry Me A River」の怨念は恐ろしくなるほどと言ったら言いすぎでしょうか?

この時の録音のコンプリートバージョンCDを持っているのですが、録音の冒頭デレクターか誰かが「Julie Londonのように唄ってよ」と言うのですが、彼女は「Dinah Washingtonのようになら歌える」と答えています。

彼女のレコードはどれもDinah節炸裂なのですが、「Manhattan」「It’s Magic」のように他の人のイメージが強い曲ほどDinah色に塗りこめられて強烈に感じます。

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Dinah Washington [In Tribute] Roulette R25244

Intribute

Dinah19631214日に39歳の若さでなくなっています。

死因は薬物の摂取多過によるもの。

彼女の死は61年に長年所属していたMercuryからRouletteに移籍して2年目のことでしたが、彼女はこの2年間で100曲近い曲をレコーディングしていました。

彼女がなくなった時点で既に5枚のアルバムが発売されていましたが、まだ40曲近い音源がレコード化されていなかったわけです。

この「In Tribute」は彼女の死後そんな音源から曲を選りすぐりリリースされた追悼盤ということになります。

遺影を思わせる縁取りのある黒いジャケット、不慮の事故でなくなった悲しみを自ら切々と訴えるかのような黒いバラード集です。

1曲目の「That SundayThat Summer)」は「人生の最後に今までの人生でたった1日を選ぶとしたら、貴方と私があったあの日、貴方が私に微笑んだあの瞬間、あの日曜日。

そう去年の夏のあの日曜日を選ぶわ」というまさにこのアルバムのためのような曲。

他の歌手ではNat King Coleのヴァージョンが有名ですが、全く違った趣。

Dinahファンなら涙なくして聴けない絶唱です。

彼女のレコーディングキャリアにおいてこのRoulette時代はあまり評価されることが少ないのですが、私はこの2年間に凝縮された彼女の遺産はMercuryよりもさらに洗練されより現代的であることに素晴らしさを感じます。

もう少し長生きしてくれたなら、既に生まれていたDinahチルドレンたちに、さらにどんな影響を与えたのだろうか、また黒人音楽をポピュラーミュージックをどのように変えて行ったのだろうかと考えさせられます。

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The Complete Dinah Washington on Mercury, Vol. 7 (1961)

Dinahvol7

Dinahの歌う「Congratulations To Someone」は嫉妬と自虐に、恨みまで織り込まれていると言うと言い過ぎになってしまいますね。
それだけ唱が強いこのバージョンは実はシングルカットされただけで、挿入されているオリジナルアルバムが無いんです。
昔はこのMercury時代最後の年、1961年の録音をまとめたこのCDアルバムでしか聞くことが出来ませんでした。(現在は輸入盤CDUnforgettable」のボーナストラックで聴くことが出来ますhttp://www.amazon.co.jp/Unforgettable-Dinah-Washington/dp/B0000046JS/ref=sr_1_35/250-7413232-8429038?ie=UTF8&s=music&qid=1181218688&sr=1-35

この1961年の途中で彼女は16年間所属したこのレーベルを離れRoletteに移籍していくわけです。
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年ごろから「What A Diff'rence A Day Makesのようなロッカ・バラードでヒットを飛ばした彼女ですが、この最後の年はバラードからスゥインギーなものまで円熟した唱をつめ込むように録音しているのですね。
彼女のアイドルの一人Sinatraの曲も数多く取り上げていますし、自分の過去の録音曲の再録も多い時代です。

3枚組みCD67曲を通して聴くのは体力が要りますが、私も若いときはこのシリーズのVol.1からVol.7までを日替わりで聴いていた時期がありました。
Everybody's Somebody's Fool」「Please Send Me Someone to Love」「I'm a Fool to Want You」「Stranger in Town」というブルージィな曲が多いDisk2をリピートしがちです。

ただこれだけ録音が多いとアレンジがマンネリだったり陳腐だったりするものも多いんですが、彼女の唱って、バックを全部消して現代のR&Bなアレンジをかぶせても充分いける唱。

そんな企画できないかなって昔から思っています。

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Nancy Wilson「Nancy Wilson / Cannonball Adderley」Capitol T1657

Nancycanon

Old Country」は歌ものではレコードが少ないですね。

作曲者のNatも参加しているこのアルバムはNancyと彼女をオハイオで発見したCannonballとのコラボ盤。

お喋りが過ぎる感じのCannonの「I Can’t Get Started」の次に唄われる「The Old Country」はBill のヴァージョンに比べるとかなりモダンな感じです。

このアルバムで唄われるNancyVocal6曲は新しい感覚の歌曲ばかりでいかにもニュースターの曲という感じ。

Happy Talk」「The Masquerade Is Over」という新しい時代のスタンダードが彼女のモダンさにぴったり。

Save Your Love For Me」を聞くと彼女が単なるジャズヴォーカリストで終わらないことを予感させます。

それにしても黄色のドレスとパンプスが素敵なNancyとちょっと下心のありそうなCannonballの立ち姿がいい感じのジャケットです。

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Dinah Washington「Dinah ‘63」Roulette SR25220

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Dinahは「I Wanna Be Around」を何度か歌っているイメージでしたが再録さ

ているのは「I Wanna Be Loved」で「I Wanna Be Around」はこの「Dinah’63」で初めて歌っているのことに気がつきました。

Rouletteではこのアルバムとタイトルが似ている「Dinah ‘62」が1stで亡くなるまでの1年ほどで8枚もの(私が知る限り)アルバム分の録音をしているのが凄いです。

逆にそれがこのレーベルでの彼女の評価をぱっとしないものにしているのかもしれません。

でも私はこの時代、ビートルズが席巻する直前のアメリカのポピュラー音楽がきらきらしていた時代の彼女のゴージャスな歌が好きです。

この時代の定番曲「I Left My Heart In San Francisco」が「In San Francisco」とリタイトルされていますがソウルフルです。

最初はCDで聞いていましたが数年前アナログ盤を入手しました。

曲目はこちらで

http://www.allmusic.com/cg/amg.dll?p=amg&token=&sql=10:2y62mpsd9f2o

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Dinah Washington 「Complete  Dinah Washington  On Mercury Vol.1」Nippon Phonogram 832-4441

Dinah_on_mercury1

Ellaの「It's Too Soon to Know」を聴いてノスタルジックな曲ということだけでなく自分自身の中に湧き上がってくる懐かしさに曲検索をしてみました。

この曲のDinahヴァージョンが聴ける「Complete  Dinah Washington On Mercury Vol.1」と言うBoxセットを買ったのはもう20年近く前になるのでしょうか、ともかくこのセットを手に入れてからダイナへの思いが強くなり彼女の歌にのめりこんでいきました。

このVol.1は1946年から49年までのMercuryでの全録音を集めたアルバム。

この後vol.7まで続く彼女のMercuryでの全録音集の第1巻です。このVol.1に収められている曲のほとんどはMG20119Music For First Love」、MG20120Music For Late hours」、MG20247The Best In Blues」の3枚のアルバムに収められているのですが、この「It's Too Soon to Know」はそれらには収められていません。

この「Complete  Dinah Washington  On Mercury 」をVol.7まで集めきるまでに彼女のMercury時代の12吋アルバムは全部集めたつもりだったのですが、データーによるとこの曲は私の所有していないMG20579と言うアルバムに収められているということ。

更にこのVol.1に収められている曲は他にMG20858と言うアルバムにも収められていると言うことがわかりました。

新年早々このMG20579MG20858に収められていると言う曲だけデジタル化してCDを作ると言う作業に没頭してしまいました(笑)。

レコード番号からいうとMG20572Unforgettable」、MG20588The Two Of Us」と番号が近いですから、MG20479What A Difference A Day Makes」の大ヒットのあと過去の音源を集めて作られたコンピ盤の番号かもしれません。

いや~、新年を迎えまだまだ探求は続くといった感じです。やはりこの世界は奥が深いですね。

いずれにしても年も新たに、私的重要盤のブログアップはおめでたいと自分勝手に思っています。
しかしこのMG20579MG20858は良い曲がコンパイルされていますね、名曲「Since I Feel For You」は後年の再録ヴァージョンより情緒があります。

アルバム化されなかった「Fool That I Am」の47年録音などが聴けるのもコンプリート盤ならではです。

残念なのはアナログ3枚組みに60数曲詰め込んでいるのでカッティングレベルが低いこと。

このVol.1Vol.4以外はCDで集めましたので、この2集もCDで買いなおそうかとも思い始めました(それらも今では廃盤、結構いい値段するようですね)。

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